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世界の風景は変わるのか

アメリカのサブプライムローンを証券化して、マネーを高速回転させていた金融システムが逆回転して一気に世界景気は落ち込みました。問題の根本は、住宅ローンの証券化ではなく、絶えずマネーをどんどん増やし続けなければならないし、増やすためのターゲットを探しまわっているマネーが常に膨大にあることでしょう。(我々の年金資金も含めて)必要以上の豊かさを求めて「どんどん増やさねば」「経済成長の世界的平均以上に増やさねば」という考えに縛られていれば、別の標的にマネーが流れて、また同じ事が起きてしまいます。

世界中をマネーが動けるので、市場から資金を調達する企業も必死です。同業他社に負ければ、勝者になった企業に投資資金は流れ、倒産するかも知れません。そうならないためには、低コストで大きな利益をあげなければなりません。そのための工夫が在庫調整くらいに終わればいいのですが、コスト削減の飽くなき追求は、生産している製品の材料調達、流通、人件費を安価にすることにつながります。人件費の削減は、そこで働く人の賃金に、材料調達や流通コスト削減は、材料を納入する業者や運輸会社同士のコスト削減競争になり、究極的には非常に安い賃金になってしまいます。

まともな賃金を得ようとすれば、より短い時間で、より多くの成果をあげなければなりません。自分が1時間に1つの書類を仕上げ、別の人が50分で1つの書類を仕上げるなら、40分で同じ書類を書き上げるようにしなければなりません。効率性の競争は果てがなく、効率性を挙げる限界が来れば、勤務時間を延長し続けることになります。もっとクリエイティブ(創造的)な仕事なら大丈夫、ということもないでしょう。誰にも真似が出来ない事を創造する余程の資質の人でなければ、創造性発揮競争になってしまいます。

経済成長率が大きいうちは、1日20時間も働かなくても食べていけたのに、今ではそれくらい働かなければ生活が出来ない人が沢山います。国内需要の伸びが小さくなったので、発展途上国に進出するわけですが、地球が拡大しているわけではありません。途上国の人々も一通り必要な物を手に入れたらどうなるのでしょう。行き着く先は見えています。だいいち現実には、途上国に住む人々が一様に豊かで健康的な生活を送れるようになっているのではなく、貧困化・治安悪化が進んでいる所もあります。

科学技術のイノベーション(技術革新)で新たな需要を掘り起こせという記事を見かけます。でも、そもそも、イノベーションの目的は経済成長でなく、人間がより望ましい形で生きるなどであるべきです。例えば、人間が自然の一部として地球に存在させていただくために。(コンピューターとインターネットの利点の一つは、大都市に居住しなくてもビジネスができるようになり、人口の大都市集中といういびつな社会のあり方を是正する可能性を開いた事だと思います。)

需要を生み出すイノベーションが無ければ、無理にでも需要を作り出さなければならなくなります。こじつけた理由で戦争をしたり、内戦をあおったりするなどして。消費!消費!消費!消費拡大が絶対的な善とされる世界。5年でパソコンを買い換える人より、5ヶ月で買い換える人の方が正しいとされる世界。他国の戦況を伝えるニュースを見ながら、株価上昇にほくそ笑む人間の姿など、想像しただけでぞっとします。

今回の不況も無かったかのように、おそらく以前のような世界に戻るのでしょう。

でも、多くの人が今のままでは、いつか行き詰まると感じ始めたのではないでしょうか。本当に行き詰まるのは50年、100年先だとしても。

出来るだけ規制が無い市場、限りある地球に残った未開拓市場の市場への組み入れ、大規模消費に依存する経済。自由競争だから仕方がないと、限界まで働かなければ生きていけない人が続出する社会。資金の好循環が無く疲弊する地方。不当なまでの条件で搾取される発展途上国。実業界の重役と政界の地位を往来して巨万の富を築く人と、自分の臓器を売らなければならない人が同時に存在する地球。

大量消費で支えられる経済なのに、低コストを追求すると、必要不可欠な消費すらできない人々を大量生産してしまうという絶対的矛盾。

今回の世界不況が始まった頃、以前から感じていた世の中のいびつさを、私も改めて感じました。経済学者でも政治学者でもない素人の私が見ても(あるいは素人だから?)、異常としか思えません。だからといって、どうすればよいのか分かりませんが。

「博愛(他人を幸せにすることを幸せと感じること)」に基づく社会になるべきだと主張する人もいます。そんなことを言うのは、非現実的なことしか思いつかない夢想家だと思うでしょうか。違います。これは、フランスのジャック・アタリという博学な経済学者の考えです。彼は象牙の塔にこもる学者ではありません。長年ミッテラン大統領の側近であったし、欧州復興銀行の初代総裁を務めました。現実をよく知る彼が、この夢のように見える社会のあり方でなければ、人類の社会は存続不可能だと考えているのです。

博愛主義が無邪気な夢でも、宗教的なセクトの宣伝文句ではなく、これこそあなたが属している人類が生き残るただ一つの現実的な道であると理解してほしい。(ジャック・アタリ「反グローバリズム 新しいユートピアとしての博愛」彩流社 p.187 原題は「博愛 新たなユートピア」)

まだまだ今の状況では甘く、行くところまで行くのかもしれません。しかし、多くの人が気づき、マネーゲームを冷めた目で見るように意識が変わったのではないかと思います。従来通り行こうとするベクトルと、変わろうとするベクトルの綱引きが始まる予感がします。

子どもたちが成長した頃、世界の風景はどうなっているでしょうか。

(「博愛」という言葉を使いましたが、この文章は現政権の「友愛」という言葉に触発されたものではありません。数年来、感じていたことをつづったものです。)

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Author:ハーモニー108
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1995年早生まれの男の子(ミント)、1997年生まれの女の子(パセリ)の母親です。主として、目からウロコが落ちるステキな子育て・学力養成の理論&実践方法を提供しているどんぐり倶楽部について書いています。

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