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考える熊

どんぐり倶楽部の理論書「思考の臨界期」の初めの方に「考えるとはどういう行為か」を伝えるための、小学生向け公開授業「リンゴとリンコ」が載っています。詳しくは本文に当たっていただくとして、手短かに書くと、「考える」とは頭に浮かんだ視覚的イメージを、移動させたり、変形させたりすることなのですが、熊でもやっている好例を見つけました。といっても、熊は熊でも、私が子どもの頃に愛読していた物語に出てくる熊なのですが。

その熊の名は、パディントン。読んだ方も多いと思います。このお話は好評で、シリーズで何冊も出版されています。パディントンは、ペルーからイギリスに密航してきて、ロンドンのパディントン駅で出会ったブラウンさん一家の家族になります。そして、あれや、これや、おもしろい事件を起こしてくれるのです。

子どもの頃、繰り返し読んで、読むたびに笑いが止まらなかったのが、シリーズの一冊「パディントンとテレビ」(福音館書店)に載っている短編「幸運は誰に?」です。パディントンは家族に秘密で応募して、クイズ番組「幸運は誰に」の回答者になってテレビ出演するのです。いなくなったパディントンを探していたブラウンさん一家はびっくり。捜し物がテレビに映っているのですから。

「幸運は誰に」は簡単なクイズを出題して、正解を答えると、一定の賞金を受け取り次の問題に挑戦するのをやめるか、その賞金を獲得する権利を失うリスクを背負いつつ、より多額の賞金を狙って、次の問題に進むか、選択を迫られます。パディントンは、番組制作者が思っても見なかった「正解」を答えて1問目をクリアします。

さて、2問目です。2問目は小問が二つあります。一つ目は「八フィートの長さの材木を、半分に切り、生じた二本をさらに半分にきり、また各々を半分に切ると何本になるでしょう?」という問題で、パディントンは「八本」と即答します。そして、二つ目の小問に進みます。問題は、「この八本の各々の長さは?」です。

これに対し、パディントンはまたまた即座に「八フィート」と答えます。自信たっぷりに。司会のプレイフェアー氏は、「正解は一フィートです」と言って、続けて、なぜ一フィートになるかを懇切丁寧に解説。そして「いくらクマでも、議論の余地はございませんね。」と勝ち誇ったように言います。しかし、


 「いいえ、そんなことはありません、プレイフェアーさん。」とパディントンは、ていねいにいいました。「そりゃ、あなたの切り方でお切りになれば、そうなると思いますが、ぼくの切り方は違いますから。」
 いま一度、プレイフェアー氏の笑顔が、こおりつきました。
「なんですって?」
「ぼくのは、たてに切るんです。」と、パディントンはいいました。「そうすれば、八フィートの長さの材木が八本とれます。」
「しかし、材木を二つに切るっていえば、」と、ロニー・プレイフェアーは、つまりつまりいいました。「横に切るにきまってます。たてだなんて。そんな理屈にあわないこと。」
「クマの理屈にはあうんです。」


このあと、パディントンは3問目に進んで正解し、たくさん賞金を獲得しました。

要するに、「材木を切る」という言葉でイメージしたものが違っていたのです。番組制作者(および多くの人間)は横に、クマさんたちは縦に切ることを思い浮かべていたというわけです。そして、画期的な発見・発明・創造は、常識破りのイメージから生まれるようです。コペルニクスが文字通りコペルニクス的転回をして、「動いているのは地球の方だ」と思ったように。どんなに、天動説に反するデータが出ても、常識破りのイメージがわかない限り、データと天動説が無理なく両立する理論を考える方に進んでしまいます。アインシュタインが、例えば、ぐるぐる自転しながらビュンビュン太陽の周りを回っている地球のように、高速で動くものからの光の見え方の不思議をイメージできなければ、画期的な理論を導けなかったはずです。子どもが思いがけない絵を描けることを、真綿でくるむように大事にしてあげなければならないと思いました。

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1995年早生まれの男の子(ミント)、1997年生まれの女の子(パセリ)の母親です。主として、目からウロコが落ちるステキな子育て・学力養成の理論&実践方法を提供しているどんぐり倶楽部について書いています。

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