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はしたない!

昨年のノーベル賞を、4人の日本人研究者が受賞したことは記憶に新しいことです。その中でも、いたずら坊主がそのまま大人になったような益川先生は、「小林・益川理論」が分かる人にも、分からない人にも人気があります。既に多くのメディアが、伝えていますが、ここで改めて、「名古屋ノーベル賞物語」(中日新聞社、2009)から、益川先生の面白エピソードを拾ってみます。

益川少年はどんな子どもだったのでしょう。
生家は砂糖問屋で仕事は忙しく、ご両親は幼い妹を連れて仕事場へ行っていましたので、益川少年は、誰もいない家に帰宅していました。そこで、・・・

 遊び盛りの益川は放課後、無人の自宅にかばんを置くと、友達と走り回った。(p.19)

家で全く勉強しないことに気づいたお母さんは、担任の先生に「毎日宿題を出してくれないと困ります」と訴えたのですが、「毎日出しているんですが、息子さんは一度もやってこないんです」という答えが返ってきました。
このような少年時代を過ごした後、近くに図書館ができたことから読書に目覚め、芥川龍之介の小説なども読破し、理論物理に関心を持つようになります。そして、浪人はさせないと言われたので、名古屋大学目指して必死に勉強。有名な話ですが、益川青年は英語がとても苦手だったので、英語零点合格作戦を立てます。

 名大理学部に入るのに必要な得点を調べた。五教科千点満点だったので英語が零点でも八百点残っていると考えた。八百点あれば、合格できると。ただ、少しでも英語で得点しようとしたので、最終的には英語は二百満点で三〇数点だった。皆さんは絶対にまねしてはだめ。(名古屋大学記念講演会2009年2月7日,p.132)

こうして晴れて合格。益川青年はとにかく理論好きだったようで、

 (名古屋大学での授業で)液体サンプルにどんな成分が含まれているかを調べる定性分析の試験。試験管を渡された学生達は早速、塩酸を加えるなどして実験を始めた。
 なのに、実験に興味がない益川は何もせず、必死に取り組む仲間の周りをぶらぶら歩き回るだけ。
 約一時間後。「おまえの、なんとなんだった」と取材を開始。ひとしきり聞いて回ったところで、表を作り始めた。
 「先生はランダム(無作為)にサンプルを与えるはずがない。必ず規則性がある」。そう言って、自作の統計表に基づき自分の試験管の中身を当ててみせた。(p.34)


結婚も理詰めで勝負して、

 親の説得が大変だったが、「益川があまりに理路整然と説明するので、父は何も言えなくなってしまって」と明子は振り返る。(p.43)

ところで、苦手な語学の克服に努力を怠ったわけではなく、外国映画を見るなどしたのですが、弱点を克服できず、

 大学院入試のドイツ語で、益川は白紙の答案を提出。合否を決める入試委員会で問題となった。
 「こんなに物理ができる学生を落としちゃいかん」。入試委員長だった物理の教授、上田良二の発言に異論は出なかった。(p.33)


こうして、人を見る目がある名古屋大学の先生のおかげで、理論物理学の道へと進むことになります。そして、ノーベル賞を受賞。初めての海外旅行が、ノーベル賞の授賞式という、二重の緊張のせいでしょうか、

 小林さんはグスタフ国王から賞状とメダルを受け取ると時折、笑顔を見せた。益川さんは、終始硬い表情で、通常三回するおじぎが一回多かった。(p.115)

こうして、歴史に名を残す物理学者になられたわけですが、もし、名古屋大学に合格していなければ、どうなっていたのでしょうか?この疑問に対しての答えは、

 簡単。砂糖問屋のおやじ。

とのことでした。

さて、益川先生の言葉で、私にとって最も印象的だったのは、この本の中にはありませんでした。多分、テレビで見たのだと思うのですが、

 「ノーベル賞、ノーベル賞って、はしたない。」

研究者ではない多くの人は、研究の内容とか、質の高さが分からないので、ノーベル賞を基準とせざるを得ず、日本人が受賞すれば嬉しいし、大騒ぎをします。それは自然なことだと思います。でも、研究者が、この賞ほしさに研究するはずはないし、あってはならない。科学を愛すればこそ研究するのがあるべき姿。それと賞や名声とは関係ない。「賞が取れたぞ、ばんざーい」ではない。

勿論、国家戦略とか国の科学研究推進方針の「一応の目安」には使えます。~年までにノーベル賞級の成果をどれだけ上げるか、という目安として。税金を研究費用に使うからには、やはりビジョンは必要ですし、研究者も、ある程度の自覚は必要でしょう。けれども、国家戦略と研究者個人の心とは「完全一体」になるべきではないと思います。国もどこまででしゃばっていいか、よくよくわきまえるべきです。

しかも、ノーベル賞の対象は限られた分野です。それ以外の分野で、これほど大騒ぎになることはありません。私たちは、それを心の片隅に留めておくべきでしょう。

どんぐり倶楽部の理想の子ども像は「幼さく・賢く・逞しく」ですが、「はしたない」と言い切っておられる感性に、いい意味での「幼さ」を感じました。
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1995年早生まれの男の子(ミント)、1997年生まれの女の子(パセリ)の母親です。主として、目からウロコが落ちるステキな子育て・学力養成の理論&実践方法を提供しているどんぐり倶楽部について書いています。

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