スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

人生の勝敗

有名になることは 醜いことだ
これは 人間を高めはしない
文書にしておく必要はなく
草稿のままで惜しむがよい
  ・・・・・・・
そうだ 偽りの名声に生きてはならぬ
つづまりは このように生きることだ
宇宙の愛を自分にひきつけ
未来の叫び声に 耳を澄ますのだ
  ・・・・・・・
ほかの人々は 生きた足跡をたどって
一歩一歩 おまえの道をくるだろう
けれど 敗北と 勝利とを
おまえ自身が区別してはならぬ

上に書いたのはロシアの文豪パステルナーク(1890~1960)の詩です(稲田定雄訳)。代表作はソ連が誕生することになるロシア革命前後を舞台にした「ドクトル・ジバゴ」。1958年にノーベル文学賞受賞が決まるのですが、彼は受賞を拒否しました。通説によれば、この小説がソ連の政治体制批判を含んでいるために、当局からの圧力がかかったからだと言われています。

この詩の光る箇所は「敗北と勝利とを おまえ自身が区別してはならぬ」だと思います。

ひところ「勝ち組」「負け組」という言葉が流行しました。漠然と、経済的に恵まれるようになること(高給、玉の輿)と経済的に不自由な生活を強いられるようになることを指している場合が多いのだと思います。確かに、生きるのがやっとというような経済的困難は大変な苦痛だと思います。その苦痛を味わっていない私が書くのは僭越できれい事にしかならないと自覚はしていますが、それでもあえて書きます。人生における「敗北」とか「勝利」とはいったい何なのでしょう?

十分なお金を貯めて退職し、元気なのに、やりたいことは何もない人を知っています。まるで、死ぬまでの暇つぶしをしているように見えます。一方で、貯金残高が10万円を越えると、多すぎて落ち着かない気分になると言って、明るく生きている人も(間接的にですが)知っています。では、人生の勝ち負けは、お金とは余り関係が無く、好きなこと(勿論、反社会的なことではないこと)を趣味や仕事で出来る人のことなのでしょうか。確かに、その人自身の感じ方としては幸せで、「勝ち」と言えるかも知れません。でも、身体的・精神的ハンディのために、好きなことをすることもままならない人の人生が「負け」とは言えない気がします。

例えば、私は中学生の頃から偏頭痛持ちです。珍しくない持病ですが、頻度や強度は人それぞれで、私の場合、かなり頻繁に強い頭痛に悩まされてきました。強い偏頭痛と陣痛なら、明らかに頭痛の方が痛いです。一度起こると、10日ほどは軽くなったり痛くなったりをくりかえしますので、ひと月のうち3分の1は頭痛に悩まされている事になります。40歳を過ぎた頃から、頻度も強度も落ちてきて、なおかつ、特効薬が日本でも承認されたので、今は頭痛で余り悩むことは無くなりました。承認された特効薬をもらいに最初にお医者さんに行った時、「こんなにしょっちゅうで、よく今まで、生活してきたねえ。」と感心されました。偏頭痛は、通常、20~40歳の働き盛りに多いのです。

ところで、こういう私が仮に40歳で死んでいたとします。そうすると、特効薬もなかったし、普通の頭痛薬は効かない状態だったので、人生の大半を、頭を抱えて髪をかきむしりながら、うなったり悲鳴を上げたりして過ごすか、頭痛が起こらないように、飲酒しない、人混みに行かない、お日様がカンカン照りの所に長くいないなど、色々生活を制限して過ごした人生で終わったということになります。これは「敗北」でしょうか。確かに、私自身は「やりたいことを思い切りできた人生だった」とは思わなかったでしょう。でも、働き盛りの年齢に生活に支障が出るほどの症例の一つであったことで、特効薬開発に貢献はしました。そして、私自身が今、その恩恵を被っているし、未来の偏頭痛持ちの人にも多少お役にたったことになります。未来の人のお役に立ったと言う意味では、「敗北」ではありません。

結局、人生の勝敗は、人間の主観では決めがたいことなのだと思います。「塞翁が馬」とか「禍福はあざなえる縄の如し」というのとも違います。これは、人生は幸福になったり、不幸になったりする理由で、勝敗が決められないということですから。そうではなくて、自分が感じる幸福・不幸と、人生の勝敗が関係ないということです。宇宙の広大な空間を思っても、宇宙生成の壮大な歴史を思っても、人間は非常にちっぽけなもの。そのちっぽけな人間が、ちっぽけな人生の勝敗など、判断できるはずもない。冒頭の詩は、そんなことを感じさせます。

我が子の人生の勝敗にこだわって、固定的な勝ちパターンに執着しすぎると、足をすくわれかねないと感じています。

(追記)「ドクトル・ジバゴ」は映画化されています。主演はオマー・シャリフというエジプト人なのですが、何故か違和感なくロシア人に見えてしまいます。テーマ曲「ララのテーマ」が素敵です。オマー・シャリフは「アラビアのロレンス」という大作映画にも出ていて、こちらでは、正真正銘のアラブ人遊牧民のリーダー役を演じています。

にほんブログ村 教育ブログへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

カテゴリ
プロフィール

ハーモニー108

Author:ハーモニー108
FC2ブログへようこそ!
1995年早生まれの男の子(ミント)、1997年生まれの女の子(パセリ)の母親です。主として、目からウロコが落ちるステキな子育て・学力養成の理論&実践方法を提供しているどんぐり倶楽部について書いています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。