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木を植えた男

昨日の夜、娘と一緒に「木を植えた男」という絵本を再読しました。娘は小学校高学年なので、読み聞かせではなく、本は一人で読みます。一緒に読んだというのは、二人で並んで、同じ本を黙読した、と言う意味です。しばし、静かな時間が流れました。

フランスのこの本は、20年ほど前に日本語訳されて、日本でもよく知られていますが、念のため、あらすじを書いておきます。

第一次世界大戦前の1910年、フランスのプロヴァンス地方の荒れ地を、若い主人公が旅行し、そこで、50歳を越えた羊飼いの無口な男に会います。主人公は彼の家に泊めてもらい、妻子に先立たれたこの初老の男が、荒れ地を豊かにするために、どんぐりをこつこつ植えていることを知ります。その後、主人公は、第一次世界大戦に参戦して5年を戦場で過ごしたのち、再びここを訪れ、荒れ地が林になっているのを見ます。男は相変わらず、一人で、こつこつどんぐりを植えていました。やがて始まった第二次世界大戦中も、黙々と。そして、かつての荒れ地には豊かに木々が茂り、水も豊かになり、人々が楽しく暮らす村が出来ていきました。木を植えた男は、終戦後、1947年に亡くなりました。

この物語で伝えたいメッセージは、冒頭に書かれています。

人びとのことを広く深く思いやる、すぐれた人格者の行いは、長い年月をかけて見定めて、はじめてそれと知られるもの。名誉も報酬ももとめない、まことにおくゆかしいその行いは、いつか必ず、見るもたしかなあかしを、地上にしるし、のちの世の人びとにあまねく恵みをほどこすもの。(ジオノ作、寺岡たかし訳、あすなろ書房)

この絵本を読んで、以前、私と同じ年頃の男性(40代)から聞いた話を思い出しました。

彼は若い頃、コンピューター技術者として大手企業で働いていましたが、思うところあって、30歳を前にして退職し、友人と起業しました。けれども、会社の経営という事をよく知らなかったため、うまくいかず、2年ほどで会社をたたむことになってしまいました。そこから彼の苦闘が始まったようで、経営・営業を学ぶために別の会社に入社して修行したり、セミナーで勉強したりしました。その一方で、自分の心・生き方、人間の心理を深く考え、みつめるようになり、心理学や様々な宗教の思想を学び、仏典も読み、出家しようとまで思うようになったのですが、結局、もう一度、世間でビジネスをしてみようと決心し、今は小さな会社を経営して、ここ数年は順調なのだそうです。

「木を植えた男」を読んで思い出したのは、彼の次の言葉。

「僕のおじいさんはね、林業だったんですよ。林業というのは、木を切る一方で植えるわけです。切っている木は自分が植えた木ではないし、自分が植えた木を切るのも自分ではない。木が育つには何十年とかかりますから。それでね、自分の生き方とか、会社の経営の方向性を考えるときは、2、3年先ではなく、30年、50年、100年先を見ないといけないってことが、自分にとって自然になったんだと思うんです。」

彼と親しいわけではないので、おじいさんの林業がその後どうなったのかは知りません。「木を植えた男」と違って、おじいさんは存命中に、自分の植えた木が木材にするに値するまで成長するのを見届けはしなかったでしょう。おじいさんは、見知らぬ誰かのためにではなく、子孫の林業の繁栄のために植えいていたとも言えます。でも、自分が死んだ後の山の状態を見据えて植えいていたことは確かでしょう。

50年、100年先には、自分はおそらく生きていない。でも、それほど先を見て、自分の生きる方向性を考えていくという、その考え方に、私は驚き、感銘しました。

人間は寿命から逆算して、人生を考えがちです。生きている間に自分の仕事が評価されなかったら仕方がない、生きている間に自分が手を付けたことの結果を見たい、というのが普通の感覚です。でも、死んだ後を見据えてというのは、高貴であるだけでなく、本人の気持ちを軽くするものだと思いました。生きている間に、この世的な見返りを期待しないからこそ、心が自由になり、軽やかに生きていけるんだと気づきました。

彼は、とても明るく、こんなことも言っていました。

「僕の会社がどうなるかって、実際には分からないですよ。」

自由工作コーナー
娘9歳
お人形ごっこの道具:りかちゃん人形の服、布団(フェルトと綿)

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1995年早生まれの男の子(ミント)、1997年生まれの女の子(パセリ)の母親です。主として、目からウロコが落ちるステキな子育て・学力養成の理論&実践方法を提供しているどんぐり倶楽部について書いています。

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